上越国境(利根川水源山脈) 前巻機山(1861m)、巻機山(1967m)、トトンボノ頭(1896m)、永松山(1835m)、東五十沢山 (1681m) 2010年4月15日

所要時間 4:59 清水−−5:27 桜坂−−8:10 前巻機山−−8:48 巻機山 9:07−−9:47 トトンボノ頭−−10:11 永松山−−10:23 東五十沢山 10:44−−11:14 永松山−−11:44 トトンボノ頭−−12:29 巻機山 12:58−−13:19 前巻機山−−13:56 桜坂−−14:15 県道−−14:24 清水

概要
 桜坂駐車場までの林道は除雪作業中で通行できず清水から歩く。気温が高くて雪の状態が悪く、傾斜があるとスノーシューでも足元が崩れてずり落ちた。1128m肩より上部でやっと雪が締まり快調に登れた。前巻機で巻機山山頂に人影を発見、山頂直下ですれ違った。牛ヶ岳の登りを巻いて県境稜線に戻ると笹や灌木が顔を出していたがまだ完全には出きっておらず藪漕ぎ皆無。トトンボノ頭山頂も半分灌木が出ていた。1819m峰の下りは急なナイフリッジだったがスノーシューのままでずり落ちながら下った(つぼ足なら快適に下れただろう)。永松山は広い雪庇の山頂。永松山の下りも急なナイフリッジだがこれもスノーシューのままクリアし、肩のような東五十沢山山頂へ。ここまで来ると最低鞍部や三ッ石山は目の前。巻機山に戻ると3人のスキーヤーが休憩中。最後尾で出発したが、何だかんだで前後し、県道に出たのはほぼ同時だった。この日は終日好天で顔や日焼けして痛かった

ルート図(クリックで拡大)

  巻機山から尾瀬にかけての群馬/新潟県境の山々は利根川源流部を形成する。山深さは言うまでもなく、近くに集落や車道は無くてアプローチは非常に悪い。また、登山道は無く雪深さと標高からして笹を中心とした激藪の植生に違いなく、一般登山者が登るような山ではない。当然、無雪期に目指すには不向きな山で残雪期を狙うのが常道だろう。

 マイカーを使うなら縦走はできないし、サラリーマンで主に土日の2日間を使って片づけることを考えると何回かに分割するしかない。今回はその初回で、まずは巻機山から三ツ石山最低鞍部手前の東五十沢山までをやっつけることにした。ここは早くに雪が消えて籔が出てしまう個所であり、できるだけ早い時期にやった方がお得だ。本当はもっと早くやりたかったが、今年の週末の天候とそれに伴って予想される雪質を考慮してここまで延期していた。今回は気温が高く表面の雪が締まらない可能性が高いが、連日の高温で内部のザクザクした部分は溶けきってそこそこしか沈まないと予想した。ワカンでは役者不足で重いがスノーシューを持っていくことにする。

 本当なら週末にやりたかったが今週末は日本海側は土日ともあまりよろしくない予報で、残雪期の貴重な短い期間を逃したくないので金曜日に休みを取って実行に移した。問題は清水から桜坂までの車道が除雪されているかどうかで、今年は残雪が多そうなので特に除雪の手間がかかりそうで心配であった。まあ、除雪されていなくても加算されるのは標高差100mなので、往復1時間程度プラスされるが許容範囲だろう。

 平日なので土日祝日の高速\1000は使えないので、どうせなら静かな環境で寝ようと塩沢石打ICを降りて清水集落へ向かう。案の定集落上部で通行止めの看板が出ており林道上に除雪車が置いてあって通せんぼしてあった。明日はここから歩き確定だ。少し戻って登山道の案内看板がある広場の隅に車を置こうと思ったが、集落の中に車を置いて寝るのも気が引けるので県道に戻り、路肩が広い場所で仮眠した。

観光案内板のある広場に駐車 集落上部で林道は通行止め
除雪車の先も除雪済み キャンプ場も除雪済み
沢も雪に埋もれる 桜坂駐車場は除雪の真っ最中

 翌朝、看板の広場に移動し除雪車に向かうとその先の林道はきれいに除雪されていた。これはラッキー。体力セーブのため舗装道路が使えるうちは使わせてもらおう。どこまで続くかと歩いていたが、なんと桜坂駐車場まで除雪が続いていた。駐車場が除雪途中なだけで、今日中に完全オープンは間違いないだろう。明日の土曜日開通に合わせた作業なのだろう。1日損をしたことになるが、明日の天候を考えれば損とは言えないのかもしれない。

桜坂登山口 林道の形状が分かる
振り返る。まだまだ全体が白い

 駐車場の除雪の壁をよじ登って壁上部の雪原に移り、あとは夏道と同ルートに付けられた足跡を追った。しかし気温が高く最初から潜るためスノーシューを装着、効果はてきめんで沈む深さは数cmとなる。こうなれば他人のトレースを気にすることなく夏道よりも効率的に尾根に取り付き、歩きやすい所を選んで登っていく。とはいえどこを歩いても同じくらい沈む。唯一沈まないのは古い雪が顔を出した部分で、雪が汚れているので割と判断しやすい。ここを踏むとほぼ沈み込みはゼロで足の疲労度は格段に軽くなる。しかし古い雪が表面に出た部分はごく僅かで、常に数cm沈みながら足を進めていく。足跡は複数残っているが、一番新しいものはまだ輪郭がはっきりしており、昨日日中というより夕方近くに登ったものと思われた。それに相当する新しい下りの足跡は無く、どこかで幕営したように思えた。

平日なのに新しい足跡あり 急斜面は雪質悪く苦労する

 傾斜がきつくなると緩い雪の弊害が大きくなる。スノーシューは接地面積が大きく体重が分散してつぼ足より沈みにくいのはいいのだが、沈まない分、体重は表面の柔らかい雪で支えることになるが、傾斜が急になると柔らかい雪の層が下部の硬い雪の層から滑り落ちて、スノーシューだと1歩上がるとズルっと落ちてしまう。しょうがないのでスノーシューを履いたままキックステップで雪に蹴込むことになるが、スノーシューは重いので繰り返すと疲れる。かと言ってつぼ足ではずっと潜る深さが深くなって体力を絞りとられ大差なし。しょうがないのでピッケルで体重を手に分散して滑りやすい足元をだましだまし登っていく。朝の気温が低下して雪面がクラストすればこんな苦労はしないのだが、なんと現在の気温は+10℃! これでは雪の締まりは期待できない。

尾根に乗ると雪質が良くなる 尾根がバラける
巻機山方向

 標高1120m肩で尾根が明瞭化すると同時に雪質が激変。これまでの腐った雪が嘘のように締まって歩きやすい。尾根上は雪庇ができて樹木が少なく斜面よりも日当たりが良いせいなのか? それとも南向きだからだろうか? 理由は不明だが尾根上が歩きやすいことは分かったので、この後はスキー跡や足跡は無視してできるだけ尾根を選んで進んでいった。標高1250mを越えると再び尾根がバラけて軟雪と化すが、まだ緩斜面なのでマシだったものの、標高1350m付近で傾斜が増すとまたもや足元ズルズルでキックステップとピッケル動員で切り抜ける。西側の方が尾根形状が明瞭だが西向きで雪の締まりは悪いと判断したが実際はどうだったのであろうか。

もう少しで森林限界 森林限界突破
斜面が立ちあがっているのが標高1650m付近 急斜面を登る

 傾斜が緩んでも尾根形状ははっきりしないが、雪質はかなり良くなってスノーシューなら歩きやすくなった。高度を上げると徐々にブナが減っていき、標高1450mを越えると完全に樹林が消えて森林限界突破、この頃にはさらに雪は締まって快調に高度を上げる。やはり日当たりは雪質に大きな影響を与えるようだ。締まった雪の上にはほとんど沈んでいないアイゼン跡が残っており、下部で輪郭のはっきりした足跡の主が今朝になってここを通過したことを物語っていた。アイゼンが沈まないならスノーシューを履いている意味は無いのでここで脱ぐ。担ぐと重いが足は軽くなり、よくクラストしたグリップしやすい雪の上を歩いていく。斜面が立ちあがる標高1650m以上は夏道がある小尾根上を行く。少し笹が出ているが邪魔なほどではないし、雪はつながっているので問題なし。ここは少し雪が柔らかくいのでアイゼン無しでも不安なく登れた。

傾斜が緩む 前巻機の一角
前巻機付近から見た巻機山

 標高1700mを越えると再び傾斜が緩んでノーアイゼンで快適に登れる。振り返れば谷川岳を中心とした上越国境の山並み。苗場山と挟まれた辺りに見えているのは佐武流山近辺で、あとで「写真判定」したら上ノ倉山〜上ノ間山まで写っていた。今だったら籔尾根も雪に覆われているかな。未だあれ以上の距離の籔尾根を歩いたことはない。前巻機の肩に乗ると巻機山山頂が見え、一人立っているのが見えた。アイゼンの主に違いない。この時期にスキーではなく歩きというのは少数派で、どんな人なのかちょっと興味がわいた。でもここから山頂までまだ1時間弱かかりそうで、下山途中ですれ違うことになるかな。それとも私のように県境尾根を行くのかな。

前巻機山頂 避難小屋はかろうじて一部が出ていた

 前巻機山のてっぺんは昨年同様雪は少なめで標識は埋もれていなかった。鞍部に向けて下っていき避難小屋が見えるか注意しながら歩くと、小屋はほぼ雪に埋もれていたが風下側の一部は出ていた。使えるようになるまでは1カ月以上かかるだろうけど。スキーで滑るにはおいしそうな真っ白な尾根を登り、1850m肩から先はショートカットで右斜め上に登って山頂を目指す。そして山頂手前で稜線に出たところで降りてくる先行の単独男性と遭遇、今時珍しくバスで清水に来たとのこと。帰りもバスの時間の制約がありのんびりお話ができなかったのがちょっと残念だった。

広大な斜面を登る 巻機山山頂
巻機山から見た南〜西方向(クリックで拡大)
巻機山から見た東方向(クリックで拡大)
巻機山から見た苗場山周辺(クリックで拡大)

 僅かに登って1か月ぶりの巻機山山頂へ。この時期でもやっぱり山頂付近のみ雪は消えて地面が出ていた。東西になだらかな地形なので立木が無くても東西方向の展望は地面が邪魔して良好とは言えないが、南北方向は言うことなし。昨年歩いた朝日ジャンクションピークまでの稜線は1か月早いこともあってまだ雪がたっぷりついており、この雪質なら快適に歩けるだろう。風はまだ弱く、空気の透明度は悪くて奥日光でさえ霞んでしまっており遠くの山々は見えない。西を見るとかろうじて妙高火打が見えていたが、その左手にあるはずの北アルプスは目視では確認できなかった(写真で画像処理したら白馬岳周辺が写っていた)。

 しばしの休憩後、余分な荷物を山頂にデポして東を目指して出発。ここからが今日の核心部だ。残念ながら巻機山山頂からでは地形がなだらか過ぎて東側県境稜線は見えず、遠くの小沢岳から先が見えるだけなので様子は分からない。牛ヶ岳への平坦な稜線を行き、牛ヶ岳との鞍部へと下ると稜線の様子が見えた。籔は出ているがまだ充分残雪があり、雪の部分を伝わってトトンボノ頭まで行けそうで一安心。トトンボノ頭から先の稜線はここからでも見えない。

牛ヶ岳方面へなだらかな稜線を進む トトンボノ頭が見えた

 牛ヶ岳へ登り返すのはしゃくなので東斜面をトラバース。そこそこ傾斜がある部分もあるが斜面の雪は柔らかく、キックステップで蹴り込めばずり落ちることは無く、なだらかな県境稜線に降り立った。籔は笹が中心で出ているところでも半分以上は雪に埋もれて笹の上部のみが雪の上に顔を出した状態で、そこを踏んでも笹に埋もれるのは足首くらいまでで藪漕ぎとはならず、どこでも好き勝手に歩けた。kumo氏や重鎮氏が歩いた時は完全に笹が出てしまって苦労したそうだが今年はやっぱり残雪が多いらいい。日が高くなって雪が緩み少し潜るようになったのでスノーシュー装着。

牛ヶ岳を巻き県境稜線に下る。笹が出かけている トトンボノ頭へと登る
トトンボノ頭山頂 トトンボノ頭から見た東側の県境稜線
トトンボノ頭から見た越後三山〜利根水源山脈(クリックで拡大)

 なだらかな稜線を登ると笹の他に灌木が混じるようになるが、これもほとんどが雪に埋もれて枝の先のみが出ている状態で邪魔にならない。山頂も雪に埋もれかけた灌木に覆われた平坦地で、どこが最高点と指し示せる地形ではなくだだっ広い場所だった。高い木は無く目印の類は見えなかった。ここまで来ると次の永松山が見えるが、途中の稜線には大きなクラックの入った雪庇が見え、雪庇崩壊には要注意だろう。

さらに東へと下る 1819m峰から見た永松山
1819m峰先のナイフリッジ ナイフリッジを下から見上げる

 1819m峰にかけては今まで通りなだらかな尾根が続き、少しだけハイマツや灌木が顔を出したりしているが雪が有効に使えて全く邪魔にならない。クラックの入った雪庇に覆われた1819mを越えて下りにかかると予想外のナイフリッジが登場。地形図を見た感じではダラっとした尾根が続きそうなものだが、地形図をよ〜く見ると1819m峰東側直下は1810mと1800m等高線の間が詰まっていた。ここにナイフリッジができたようだ。ナイフリッジといっても実際は南側が雪庇気味で切れ落ちて北側が少し緩やかの非対称で、南側に雪庇気味に張り出しているためトップを歩くと崩壊して南側に落ちそうなので北側にトラバース気味に下るのがよさそうだ。傾斜はそこそこきついが危険というほどではなく、もし落ちても100mくらいで傾斜が緩んで止まりそうで、どこまでも一面の雪原でぶつかるような物体は無く少なくとも命にかかわる心配は無い。ピッケルもあることだしスノーシューのまま下り時始めるが、既に日が高くて雪が緩み、森林限界以下の尾根がはっきりしない樹林帯で体験したように雪の表面ごとズルズル滑り落ちる。しょうがないのでピッケルでブレーキをかけながら下った。スノーシューを脱げば登山靴でかかとを効かせてザックザックと快適に下れる場面だったが、この雪質だとどうせすぐスノーシューを装着することになるのでそのままとした。リッジの最後はクラックが入って段差になっていたが強引に越えたが、登りはその段差を上がれず右に巻いた。これから徐々に口が開いて尾根直上は越えられなくなるだろうが、北側から巻くことは可能だ(少なくとも現在は)。

鞍部から見た永松山 鞍部から見たトトンボノ頭方面
永松山山頂 永松山から見た小沢岳方面

 下りが緩くなると発達した雪庇を踏み抜かぬよう左側を巻き気味に進んで鞍部を越えて永松山の登り。ほんの僅かだけ笹が出ていたが尾根直上は雪があって籔は無関係で、そのまま緩く登りつめるとなだらかな永松山山頂に到着。ここもなだらかな山頂だがトトンボノ頭と違って籔は全て埋もれて一面の雪原だ。全く木が無いので目印も見当たらない。

東五十沢山を目指す 下り始めがナイフリッジ
ナイフリッジを見上げる 鞍部から見た永松山

 さて、次は最後の東五十沢山だ。これも意外なことだが1800m肩で尾根が右に曲がったところで急激に高度を下げるが、ここもナイフリッジだった。でもさっきと同程度のリッジで特に危険は無く、スノーシューを履いたまま前を向いて(というか滑るので横を向いて)下ることができた。

稜線上にクラック多数 山頂近くもクラック

 小さな鞍部に近づくと稜線付近は大きなクラックが入り、稜線からかなり離れたところを歩くようにした。単独行では雪に隠れたクラックに落ちるのが一番いやなパターンで、これだけでかいと2,3mの深さがある場合だってあり、スノーシューを履いた状態では脱出が難しいこともあるので注意深く足を進める必要がある。稜線を大きく巻いたおかげでクラックに落ちることなく東五十沢山山頂直下まで到達。その山頂もいくつかのクラックが入り、それらを跨いで最高点へ。

永松山を振り返る 東五十沢山山頂
東五十沢山から見た越後三山〜利根水源山脈(クリックで拡大)

 東五十沢山山頂も雪庇上で一面の雪、樹木は全く顔を出していない。ここまで来ると三ツ石山は眼と鼻の先で短時間で往復できるだろう。しかしそのためには標高差500m近くがプラスされ、日帰りの標高差が2500mになってしまう。私の体力レベルで残雪期のこの日帰りは完全に実力を越えているので、冷静に考えて今回はパスし、近いうちに十字峡側から三ツ石山はやっつけよう。その頃にもちゃんと今みたいに雪で藪が埋もれていることを祈ろう。

永松山から見たトトンボノ頭 トトンボノ頭へと登り返す
南側には奥利根湖 トトンボノ頭から牛ヶ岳を目指す
牛ヶ岳を巻く 巻機山への最後の登り

 少しの休憩後、巻機山目指して登り返し開始だ。滑りやすい雪質のナイフリッジも登りなら楽勝で、キックステップでスノーシューを蹴り込んで通過、永松山、トトンボノ頭を越える。往路と同様に牛ヶ岳を巻いて巻機山との鞍部に直接出て緩やかに登ると、巻機山山頂に3名休憩している姿が見えた。平日なのに意外と人がいるなぁ、という自分もそうなのだが。接近すると3人ともスキーヤーで、単独男性と2人組の男性で、やや強くなってきた南西方向の風を避けて北斜面で休憩していた。私も北側のハイマツの上で休憩。さすがに東五十沢山から歩き続けて疲れたのでまとまった休憩が必要だった。こちらがお休み中にまず単独男性が出発、次に2人組が出ていった。

下山するスキーヤ 前巻機を登るスキーヤーが見える
前巻機から滑降開始 気持ちよく滑ってるなぁ

 こちらも出発するが、下りではスキーヤーに追いつくことはないだろう。緩やかな県境尾根を西に進み、尾根が接続する手前で斜めに下って尾根に乗り、鞍部から登り始めた。どうやら登りはスキーよりも歩き(スノーシュー)の方が有利なようでグングン差を詰めて後発の2人のスキーヤーを追い越して前巻機で滑降準備中の単独男性に追いついた。登りの運動量で発熱してかなり暑くなったので長袖シャツに変身、着替え中にスキーヤー達は気持ちよさそうに滑り下りていく。こちらはスノーシューなので基本的には滑らないが、日中の日差しで緩んだ雪に傾斜が重なれば半分滑ることはできる。歩幅を広げて面白いようにグングン下っていく。山スキーのことはよく知らないが3人とも時々滑りをやめて立ち止まるので、歩き続ける私の方が追いついてしまう。場所によってはこちらが追い越してしまう場面も。スキーで滑るにも一部の筋肉を酷使し、長時間滑り続けるのが難しいのだろうか。

 傾斜がきつい所ではスノーシューの弱点(踵が使えない)が出てブレーキをかけるのが難しく、立ち木に掴まったりピッケルで支えたりして誤魔化したが、場合によっては「滑る」のではなく「滑落」に近い場面もあり、後から考えれば急斜面だけはスノーシューを脱いで下った方がずっと楽で速かったと思う。

桜坂駐車場着。まだ車は無い 二子沢川左岸沿いを下る
なぜかJR東日本の雪上車が 杉は花粉飛ばしまくり

 桜坂登山口が近づくと傾斜が緩んでスキーヤーに追い越され、最後はきれいに除雪された駐車場に飛び出した。このまま道路を歩いてもいいのだが、下りなら雪の上を歩いた方が足への負担が少ないため適当に下ることに。駐車場下で二子沢川左岸に下り、あとは雪に埋もれた川沿いに付いたスキートレースを追っていく。ただ、このまま川沿いに下ってしまうと駐車した場所から北に離れた場所に行ってしまうため適当な場所で南に進路変更が必要だ。周辺はだだっ広い緩斜面で地形図の道路がどこにあるのか不明で、籔は埋もれてどこでも好き勝手に歩ける。

県道に出たが清水集落より北側だった 駐車場に到着

 途中でスキー跡と別れてやや南に進路を変更、途中に家屋が見えたので清水集落の近い所を歩いているだろうと思ったのだが、花粉が飛ぶ杉の植林帯を避けて歩いたのが悪かったようで集落より北側で県道に出てしまった。ここは昨夜仮眠した路側が広がった場所で、スキー跡はここが起点になっていたようで、すぐ近くに車が止まっており先ほどのスキーヤーが撤収作業中だった。雪壁の低くなった場所を飛び降りて県道に降り立ち、スノーシューを手にぶら下げて駐車地に登り返した。

 

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